見えないものを想像する力

日本人は、山川草木に神仏を感じ、見えないものに気配を感じながら、独自の文化を創ってきました。その豊かな想像力は、江戸時代に洗練された大衆文化として花開き、人々の暮らしに豊かさをもたらし、その美意識はさらに世界にも衝撃を与えてきました。

しかし現代、技術革新とグローバル化によって「効率性」が重視され、日本人の発想力や、それを受け入れ発展させる寛容さが失われてはいないでしょうか。

常に変化し続ける「無常」というコンセプトを持つ加納節雄の作品には、どれもタイトルがなく、観る人がそれぞれの想像力で作品を感じてほしいというメッセージが込められています。

江戸期に最盛期を迎え世界を驚かせた「日本の美学」を、あらゆる方法で現代の文脈で表現し続ける加納節雄の作品と彼の活動を通して、日本が持っている「見えないものを見る力」を、ぜひ現代と未来の世代にも伝えていきたいと思います。

加納節雄プロジェクト